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 目 次 <2004年>

 全国工場の9割が省エネ対策を実施〜対策の見直しで一層の効果も〜
 『日経エコロジー』 2004年9月号

本誌は全国の工場を対象に、省エネに関する意識調査を行った。効果的な対策で、さらなる省エネ効果を生む可能性が浮き彫りになった。

◆調査の概要◆
日経エコロジーが全国6528のエネルギー管理指定工場を対象に、工場における地球温暖化対策の実態についてアンケートを実施した。調査機関は2004年2月1日〜3月16日。1044事業所から有効回答を得た。金谷助教授には集計データ加工後のアンケート結果の分析を依頼した。

●大規模工場にも残る省エネのポテンシャル

 「日本の大企業の工場は、既に省エネへの取り組みを世界一の速さで進めている。さらなる省エネのポテンシャルは、もはや、さほど大きくは残されていない」・・・。
 近年、日本では民生用、運輸用のエネルギー消費量が大きく伸びるなかで、工場など産業用のエネルギー消費量は既にほぼ横ばいになっている。そのため、環境・エネルギー問題に関心のある多くの人が、こうした考えを共有している。
 特に燃料電池や超高効率ヒートポンプといった、最近話題に上っている最新技術への関心は強い。とはいえ、ボイラーや炉の高効率化、排熱の有効活用などの熱マネジメント技術については、目新しさもなく、工場などの事業所でも、既にやり尽くしたという意識が強い。
 しかし、今回、日経エコロジーが行ったエネルギー管理指定工場へのアンケート調査では、大規模工場では、というよりも大規模工場ですら、こうした熱マネジメント技術の導入が進んでおらず、省エネの隠れた大きなポテンシャルとして、いまだ残っていることが明らかになった。

●事業所の9割が省エネを意識

 今回の調査対象となった大規模事業所のうち、環境・エネルギー関連のビジョンや方針を策定し実行している事業所は88%に達している。さらに省エネや二酸化炭素(CO2)の排出削減を担当する組織も、既に7割の事業所で存在していることがわかった。
 また省エネに関する目標設定をしている事業所は、94%にも上っている。そのうち前年比で目標を設定している事業所が最も多く、全体の約3割を占めた。次いで「基準年からの削減率を2005年までの目標として設定している」「基準年からの削減率を2010年までの目標として設定している」との回答が多くなっている。なお、前年比で目標を設定する事業所の実に9割以上が「前年比1%以上」の省エネを目標にしている。
 一方、CO2排出量の削減を目標設定している事業所は、全体の56%と、省エネ法改正の効果が表れてきている。だが省エネ対策に比べ、CO2の削減に対する意識は、いまだ十分に浸透しているとは言い難い。
 この調査の結果で興味深いのは、工場管理者が考える、省エネ・CO2削減の効果が高い対策を尋ねた質問への回答だ(グラフ4)。

●過去の技術を再評価 まだまだ残る省エネの余地

 評価の高い対策の第1位は、「電気の動力、熱などへの変換(電動冷凍機、ポンプ、ファンなど)の効率化」である。これは省電力、すなわち「電気のマネジメント」ともいえる対策で、昨今のヒートポンプなどの技術進歩が大きく寄与している。特に電動冷凍機の消費電力当たりの加熱能力を示すCOP値は、約20年前に比べて約1.5倍にまで向上した。こうした高効率の電動冷凍機については、比較的、設備の更新が進んでいるようだ(グラフ8)。
 またポンプやファンに対しては、効率的に稼動させるためにインバーターを設置する事業所が増えている。通常100%フルに運転することが少ないポンプなどにインバーターを取り付けて、必要量に応じた運転をしようというものだ。
 この方法は、ESCO(省エネ支援サービス)事業では定番の省エネ商品になっている。高効率電動冷凍機やインバーターが、工場の省エネにおける有効な手段として浸透してきている様子を把握できる。

●熱の活用に大きな評価も

 だが第2位、第3位、そして大5位に挙がった対策は、いずれも熱をいかに効率良く作り、使うのかを管理する、いわゆる「熱マネジメント」による省エネ対策だ。
 グラフ4に示した対策の実施状況と、実施への意欲を尋ねた質問では、「ボイラー、炉などの燃料の燃焼効率の向上」による対策について、全体の約20%以上が「まだ実行していないが今後実行したい」と回答した。グラフ4に示した対策のうち、回答者の興味と実施意欲が最も高かった。
 ボイラーと炉を比べると、燃焼時の排熱の再利用や燃焼制御など、省エネの工夫の余地の大きい炉の方が、省エネのポテンシャルが高いと考えられる。特に燃焼時の排熱を蓄熱利用することで熱効率を高める「リジェネレーティブバーナー」は、従来品に対して30〜40%の省エネを実現する技術だが、十数年前から日本でも実用化されてきている。
 こうした状況にもかかわらず、今回の調査ではボイラーや炉の効率化を既に実施している事業所は、いまだ全体の約40%にとどまっている。
 技術またはシステムとして確立され、既に各事業所で実行段階にあると思われていたボイラーや炉の省エネ対策も、大規模事業所ですら取り組みの途上にあるということだ。
 実際に、蒸気ボイラーは89年以前に導入した設備の数がいまだ多く残され、炉に至っては90年以降の設備の数を大きく上回り(グラフ8)、古い設備の更新が進んでいないことがわかる。
 最新のボイラーや炉では、85年比で3〜40%もの省エネが見込める。こうした旧型設備の更新だけでも、実は潜在的に極めて大きな省エネのポテンシャルを持っているのだ。
 第3位に挙がった「加熱および冷却、電熱の効率化」は、ここ十数年間で高効率化した吸収冷凍機の導入や更新などが代表的な取り組みである。この取り組みと、第5位の「排熱の回収利用」は、それぞれ全体の54%、62%と高い割合で実行済みであるものの、両者ともに実行済みの事業所のうち約8割が「今後さらに追加で実行を予定している」と答えた。
 この2つの対策についても、実行による省エネのポテンシャルは、依然として大きい様子がうかがえる。
 その他では、効率が高い省エネ対策として第4位に挙がった「熱の動力などへの転換による効率化(コージェネレーション:熱電供給)」は、「既に実行している」と回答した事業所は全体の32%にとどまった。しかし、今後、導入の予定があると答えた事業所も約3割ある。
 2004年6月に資源エネルギー庁が発表した「2030年のエネルギー需給展望(中間とりまとめ原案)」では、2030年までに、現在、約3%にとどまっている分散型電源の全電力需要に対する比率が、約20%にまで伸びる可能性があるとしている。
 この実現には、今回の調査結果に現われた大規模事業所によるコージェネ導入の意欲が、今後、中小企業にも広がることが、前提となるだろう。

●省エネ対策を意識しつつも実現できない理由は?

 では、省エネ対策を進めるうえでの課題は何だろうか? 今回の調査では、課題の第1位は断トツで「導入費用」という結果が出た。回答率は約90%に達している。
 またCO2の排出量を1t-CO2削減するためのコストについても「わからない」「排出量を把握していない」という回答が全体の約8割を占めるなかで、コストを把握していると答えた事業所では、「1t-CO2当たり2万円以上」という回答が多かった。かなり高額の削減コストが必要となる状況がうかがえる。
 回答者に自由に記入してもらった政府への要望も、「設備の導入補助金や、税制優遇などの経済的支援の拡充」を求める声が、圧倒的に多い。

●最大の課題は導入費用

 これまでに政府は、工場などの省エネ推進を目的に、独立行政法人「新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」を主管として「エネルギー使用合理化事業者支援事業」を公募して、補助制度を実施してきた。事業所はこの制度を活用して、コージェネの導入やポンプ、ファンへのインバーターの設置などの対策を組み合わせ、補助を申請するケースが多い。
 しかし、例えば工場炉の省エネ対策の代表格である、リジェネレーティブバーナーを採用した高性能工業炉は、重点支援項目として挙げられているのだが、近年、採択される件数が減少する傾向にあるようだ。
 さらに、この補助は近年、大規模な事業所に支給される割合が増加している。補助金の受給対象企業の選定に当たっては、削減可能なエネルギー消費量などが重要な評価項目になっているものと考えられ、中小企業には利用しづらいようだ。
 今回の調査対象となった大規模事業所でも普及が進んでいないところをみると、中小企業ではこのような熱マネジメントを有効に行う省エネ設備は、ほとんど導入されていないとみるべきだろう。
 熱マネジメントによる省エネ対策に総じて言えるのは、技術やシステムなどに関する情報が不足している点だ。調査の回答にも、この点を指摘している声が多い。
 特に「排熱の回収利用」に関する情報の少なさを、回答事業所の30%以上が課題として挙げている(他の対策については、平均約18%)。
 今回の調査結果では、ESCO事業を行う企業から提案を受けたことがある工場は、全体の73%に達している。だが、これらの多くはインバーターやコージェネといった省電力化の支援がサービスの中心である。診断に手間がかかり、かつ高度なノウハウが必要となる熱マネジメントを、省エネサービスとして行う会社は、実はあまり存在しない。
 熱マネジメントは省エネ装置を単に取り付けるだけでは駄目で、熱を利用するシステム全体で、省エネを検討しなければならないケースがほとんどである。工場での熱計測によって現状の問題点を把握する技術と、得られた計測データを基に、工場で生産する製品の特徴までも考慮した、総合的な診断能力が要求される。
 こうした提案が少ないことが影響してか、ボイラーや炉などの効率化を実施済みの地域別に見ると、関西地方だけが60%を超えているものの、その他の地域では約40%にとどまっている。

●省エネと省コスト 両立できないジレンマ

 導入後のランニングコストの増大が足かせになって、実施に二の足を踏む事業所が多いのが、「石油燃料の天然ガス化」である。
 前出の省エネ、CO2削減に効果的な対策を挙げる質問では、石油から天然ガスへの燃料転換が第6位と、評価を得ている。そして、この対策が「効果的である」と答えた人の実に9割が、「ランニングコストが課題」と回答していた。

●天然ガス転換にも費用のカベ

 天然ガスのパイプラインが整備されている地域でありながら、コストが高くつくことを理由に、重油などの石油を燃料として使うケースも少なくない。
 重油などと比較して、熱量当たりの燃料単価が割高な天然ガスに転換する場合、省エネを図れる高効率の設備を導入しないと、ランニングコストの課題が生じてしまう。特に、燃料消費量が少なく、燃料単価が割高になる中小規模の事業所ではなおさらだ。
 しかし、高効率の設備を導入するとなると、一般的にお設備価格が高く、今度は導入費用が燃料転換の障壁となってしまう。一方で、導入費用が少なくて済む設備では、大幅な省エネを期待できず、結果としてランニングコストが高くなる。
 天然ガスへの燃料転換が効率的と認めながらもランニングコストを課題に挙げたこの調査結果は、各事業所が抱えるこのようなジレンマを、浮き彫りにしたといえるだろう。
 だが一方で、天然ガスのパイプラインさえ整備されれば、天然ガスに燃料転換したいというニーズも強い。政府の施策への要望や意見として「地方では天然ガスを利用できるインフラが無いので、国策として天然ガス化を進めてほしい」という意見も見受けられた。
 他の要望としては、「電動冷凍機、ポンプ、ファンなどの効率化」「熱の動力などへの転換の効率化(コージェネ)」といった省電力にかかわる対策について、「効果の評価が困難」という回答が多い。
 省電力によるCO2排出量の削減効果を評価するには、電力削減量に、電力を供給する電力会社のCO2排出原単位を乗じて求める。このCO2排出原単位として、年間を通してフル稼働する原子力発電での発電量を含む「全電源平均」を使用するべきか、需要の変動に対応している火力発電所でのCO2排出量に基づく原単位「火力平均」を使用するべきかで、議論がなされている。
 この議論は結論がいまだ見えていないが、「削減したCO2の明確な評価方法を確立してほしい」という意見が目立っている。
 省エネ、CO2削減に関するトピックのうち、関心の高いものを選択肢のなかから選ぶ質問では、「電力自由化」が85%と、最も関心が高かった。
 電力自由化を先取りした青森県の環境エネルギー創造特区に関して、2003年冬に東京で行われたシンポジウムには、主催者の予想を大きく上回る約500社が参加した。今後、分散型電源をネットワーク化するマイクログリッドの実証試験も予定されている。マイクログリッドが実用段階に入れば、工場内の自家発電で作った電気を、高い価格で周辺の施設へ販売することも可能となる。
 将来は工場へのコージェネ設備の導入によるインセンティブが、高まることが予想される。

●今こそ熱マネジメントを再評価

 マスコミに発信してほしい情報を自由に回答する質問では、「省エネの成功事例やトップランナー情報」という回答が圧倒的に多かった。自由記入欄に回答した242社のうち、その約半数で、こうした意見が寄せられている。
 省電力技術として定着しつつある高効率ヒートポンプやインバーター、全国で省エネサービスの営業が激化するコージェネの情報は、入手しやすい状況にある。
 だが前述したように、ボイラーや炉の効率化、排熱の回収・利用という熱マネジメントについては、事業所の興味が高くても、成功事例やトップランナーの情報収集が難しいというのが現実のようだ。今回の調査対象である大規模工場ですらこうした回答が大半を占める状況では、中小規模工場の窮状はなおさらだろう。
 しかし「熱マネジメント」は技術的な目新しさに乏しく、政策として国が旗を振るという形になりにくい。政策の方向性を答申していく審議会のメンバーにも、熱マネジメントの専門家がほとんどいない現状も影響していると考えられる。
 だが今こそ、企業も行政も、古くて新しいテーマである「工場の熱マネジメント」を徹底させていく時ではなかろうか。
 企業はまず、熱マネジメントが省エネ、CO2削減の大きなポテンシャルを残していることを再認識することが第一だ。その上で、省電力も含めた対策を検討することが重要だ。
 一方、政府も前述したように、熱マネジメントによる工場の省エネを支援できる、きめ細やかな補助の仕組みを構築していくことが必要だ。さらに加えて、大きなポテンシャルをはらむ産業界の熱マネジメントを進めるために、政策のタスクフォースも必要ではないだろうか。

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 飲食店経営を通じて地産地消を実践する慶大大学院助教授 金谷年展さん
 『読売新聞 宮城版』 平成16年(2004年)7月
地元産品に付加価値を たくさんある「宮城の隠れた宝物」
■チャレンジの場  −−地場産の物品を地元で消費する「地産地消」は、なぜ重要なのですか。
「顔の見える」産品なので、消費者にとっては安全で安価、新鮮な物が手に入り、生産者にすれば安定供給が期待できます。
しかし、これだけでは経済的メリットが小さい。特産品を地元で加工し、付加価値を付けて売れば地方経済が活性化し、農林水産業を助け、輸送コストやエネルギーの削減にも寄与します。地産地消に付加価値を加える「地産・地加・地消」を提唱しています。

−−具体的には。
地元で一?当り1000円の物品を地元で加工し、競争力のあるオンリーワンの製品を作れば1万円以上で売れる。青森産のホタテ貝柱などを使った中国の最高級調味料「XO醤」はその好例でしょう。しかし、今は特産品が域外で大量加工され、地元に還流して高い値段で買わされています。

−−仙台で東北産の食材を使ったラーメン店や食堂を経営していますね。
ラーメン店ではスープに青森・陸奥湾産のホタテ貝柱、山形・酒田飛鳥のあご焼き干しなどを使い、麺は岩手の南部小麦を使って打っています。青森市で二年前にラーメン店を開いたのが一番最初で、出身地の札幌にも地場産品料理店を出し、計四店を経営しています。

−−どうして大学の先生が飲食店の経営を。
専門は環境・エネルギー政策で、循環型社会や地産地消を自ら実践するためです。青森で一番人気の外食がラーメンなので、チャレンジの場に選びました。懐石料理店では大衆への普及効果が見込めません。ただ、ラーメンの原価率は通常30%程度ですが、高価な特産品を使うため、うちは45%を越えてしまいました。

■ビジネス感覚を
−−きっかけは。
青森市内の大学に赴任した六年前、大間の本マグロ、田子ニンニクなど世界有数の素晴らしい食材を味わうのを楽しみにしていました。しかし、マグロは築地の市場に出荷され、人気ニンニク料理店では中国産が使われていました。地方が誇る食材は、みんな東京へ行く。これでは“食の植民地”ではないですか。
地産地消を推進する行政のビジョン作りにも携わりましたが、理念があっても、プレイヤーがいない。ならば、自分で挑戦してみようと考えたのです。

−−客の反応は。
観光客の方が趣旨を理解してくれる人が多い。地元の人は身近な宝物の価値に気づきにくいのかも。気仙沼のサンマ節、唐桑半島のワカメは世界随一ではないですか。隠れた宝物は宮城に沢山ありますよ。

−−課題はありますか。
生産者との直接取引は生産が不安定になりがち。生産者側も「納期を守る」といった基本的なビジネス感覚が必要ですね。

−−新たな構想は。
三月に本格化した循環型地域構想「天竜峡エコバレープロジェクト」(長野県飯田市)に参画し、地産地消の実現を目指しています。飯田市特産の千代幻豚を使ったラーメン店も計画しています。

札幌市生まれ。東北大大学院理学研究科博士課程修了。富士総研主事研究員、青森県立保険大助教授などを経て、2002年から慶大大学院助教授。「せんだいラーメン金太郎」(仙台市青葉区)など飲食店4店舗を経営。41歳。

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 2004年度県予算 環境・エネルギー産業創造特区推進4145万円計上=青森
 
『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月31日

  ◆先進的試みを発掘、支援
 「青森県のエネルギーへの取り組みに感銘」「環境・エネルギー産業でのビジネスを見いだせる可能性を感じた」。

 昨年、東京と大阪で開かれた「環境・エネルギー産業創造特区」についてのフォーラムは、出席した商社やエネルギー関連企業など関係者から多くの意見が寄せられ、想像を上回る盛況に終わった。
 バイオマス発電を行うむつ小川原地域、廃棄物ゼロ社会を目指す八戸地域など十七市町村の可能性を生かし、思い切った規制緩和を図るこの特区は昨年五月に認定された。県では、特区構想をさらに推進しようと新年度、四千百四十五万円を予算計上した。

 具体的には、風力発電やバイオマス、燃料電池などを手がける外資企業を呼んで本県の取り組みを紹介する「国際フォーラム」、つくば市や三重県など全国に先駆けてエネルギー特区を進めている地域を集め、実績を報告する「全国特区自治体サミット」を行う。

 ほかに、特区エリア内の先進プロジェクトの発掘を本格化する。現在、県では、食品の廃棄物から水素ガスを取り出し、燃料電池の燃料として利用するシステムを調査する事業など四つを「パイロットプロジェクト」に認定しているが、今後、さらに発掘、支援する。また、エリア内のバイオマス資源、風力発電に必要なデータなどを一覧できる「ポテンシャルデータブック」を作成する。

 特区構想にも携わる慶応大の金谷年展助教授(環境エネルギー政策)は、「特区には全国のあらゆる企業が注目している。青森が地方初のエネルギー構造改革を担えるチャンスだ」と期待を寄せる。

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 [大手町博士のゼミナール]開発すすむ燃料電池 水素の化学反応で発電
 
『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月30日

  ◆排出されるのは水だけ
 水素と酸素を使って発電する燃料電池は、省エネルギーと環境対策の切り札として注目されています。身近になりつつある燃料電池について学びましょう。(五十棲忠史)

 受講生の会社員Y宏さん「燃料電池の仕組みと現状を教えてください」
 大手町博士「理科の授業で習った『水の電気分解』を覚えているかな? 電気を使って、水を水素と酸素に分離させるというものだね。燃料電池は、その原理を逆にした。水素と酸素を化学反応させて、電気と熱を取り出す発電システムなんだ。排出されるのは水だけなので、クリーンなエネルギーとして注目されているんだよ」
 慶応大学大学院助教授の金谷年展さん「電池と言っても、電気をためるわけではありません。『水素化学反応装置』と呼ぶ方が現実的です。小さな発電機というイメージです」
 資源エネルギー庁企画官の安藤晴彦さん「燃料電池は、新エネルギーの“希望の星”的な存在です。石油依存度を減らせるだけでなく、新産業の創出も期待でき、場合によっては百兆円の市場になるとの説もあります。燃料電池が普及する上で壁となっている法規制は、二〇〇四年度中に整える予定です」
 Y宏さん「どんな分野で使われるのかな」
 博士「生活に密接にかかわりがあるのは〈1〉燃料電池自動車〈2〉給湯と発電の機能を併せ持つ家庭用(定置用)燃料電池〈3〉パソコンなどの長時間使用が可能になると期待されている携帯用燃料電池――の三つだ」
  資源エネルギー庁の研究会は、二〇二〇年までに期待される目標として、「燃料電池自動車五百万台、家庭用燃料電池千万キロ・ワット」を掲げている。日本の公道上には、すでに、四十八台(うち一台は東京都営バス)の燃料電池自動車が走っている。今後、爆発的に普及するためには、水素を補給する施設の充実が必要不可欠だ。また、家庭用の目標としている千万キロ・ワットという規模は、原子力発電所七―八基分に相当する。

   受講生の主婦K子さん「水素を使うって、もう一つイメージがわかないわ」
 岩谷産業広報・社会関連部の岡田高典さん「水素は、半導体の製造過程など工業用としては、広く使われています。流通しているのは、製鉄所や化学工場などから、副産物として発生する『副生水素』の純度を高めたものです。非常に軽くて拡散しやすい気体で、濃度が濃すぎても薄すぎても燃えない、という性質を持っています」
 金谷さん「家庭用燃料電池に使う水素は、供給網が整っている都市ガスや灯油などを『改質』して取り出そう、という考え方が一般的ですが、この場合、二酸化炭素が発生しています。将来的には生ゴミなどの廃棄物から水素を取り出す方法も期待されています」
  一般に、化石燃料を使って火力発電所で発電する場合、投入したエネルギーの約36%しか、電力として取り出せない。一方、化石燃料から取り出した水素を、家庭用燃料電池のエネルギー源として使う場合、投入したエネルギーの約32%を電力として、約40%を熱として、それぞれ取り出せる。合計すると、火力発電のほぼ倍のエネルギー効率が期待されている。  

 新日本石油FC開発グループの吉田正寛さん「水素と酸素を化学反応させて電気を作ると同時に、反応の際に発生する熱で水道水を温め、約60度の温水を作る家庭用燃料電池を開発中です。今の段階では、高額な上、耐久性にもやや問題があります。効率を向上させて二〇〇五年中には商品化したいと考えています」
 東京ガスのR&D企画部の藤崎亘さん「二〇〇五年初頭の商品化を目指しています。家庭用燃料電池は、家庭で使うすべての電力をまかなえるわけではありません。また、燃料電池をスタートさせる際に、酸素を取り込んだり、水を循環させるための電力が必要となるため、停電時の非常用電源としても使用できません。ただ、技術的には可能なので、研究しています」
  家庭用燃料電池と並んで、身近になりつつあるのが燃料電池自動車だ。燃料電池を使って発電し、モーターを回して走行する。日本勢ではトヨタ自動車とホンダが先行しており、二〇〇二年十二月以降、リースで官公庁や民間企業に限定販売している。

   ホンダ・本田技術研究所の藤本幸人さん「今の段階では車としては一人前ではありません。『氷点下での始動が困難』『航続距離が短い』『コストが高い』――などの課題があります。このうち、氷点下の始動については、技術開発が進み、マイナス20度まで対応可能になりました。航続距離は約三百九十五キロで、ガソリン車に比べると物足りません。コストについても、一台あたり億単位の金額がかかっています」
 博士「開発する人たちに頑張ってもらって、地球に優しい社会が、より早く実現するといいね」

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 [ほのぼの@タウン]3月25日=青森
 
『東京読売新聞』 平成16年(2004年)3月25日

 ◆目指せ!!「地産地価地消」 慶大助教授が講演、郷土料理も
 ■十和田■ 慶応義塾大学大学院助教授の金谷年展さん(41)を招き、「スローフードから燃料電池まで」と題して講演と地元の郷土料理を味わう交流会がこのほど、東公民館で開かれた。

 金谷さんは、エネルギー・環境政策を専門に研究する傍ら、青森の素材を生かした大衆中華居酒屋の経営者としての顔も持つ。世界中から安い食材を輸入するのではなく、地元の一番おいしい素材を地元で生かすことこそが、環境にやさしく、利益にもつながると提案している。

 講演では、「オンリーワン的な発想として、その土地にしかない付加価値をどう付けていくか。つまり、これからは『地産地消』だけでなく、地元の素材に地元にしかない付加価値を付けて地元で消費する『地産地価地消』の考えが重要だ。成功しているまちに共通していることは、周りの人々に火をともすことの出来るキーパーソンが三人いること」と語りかけた。

 後半は、手作りの郷土料理やハーブ料理がテーブルを飾り、約四十人の参加者が金谷さんを囲んで交流した。主催者の一人、「とわだスローフードを楽しむ会」代表の苫米地ヤス子さん(56)は「将来のエネルギーのことや、地元の農作物活用について、農家のお母さん方を中心に、多くの人に聞いてほしかった」と述べた。七戸町から参加した女性は「たくさんの素晴らしい方が十和田周辺にいることが分かり、心強く思い、励まされた」と話していた。  金谷さんの言う、周りの人々に火をともすキーパーソン三人が、この会から生まれてくることを期待したい。(川端るり子)

 ◆元気いっぱい ウイング三沢のチビッ子スイマー
 ■三沢■ ―一年生になったら――。桜のつぼみもふくらんで、間近に迫った小学校入学を待ちわびるチビッ子スイマーの元気な喚声が、プールいっぱいに響きわたる。ここはフィットネスクラブ「ウイング三沢」の子どもスイミングスクール。二歳からの「幼児クラス」と、六歳からの「生徒クラス」で、年齢、体力、能力の段階に合わせて補助具を付け、一時間のレッスンを楽しんでいる。

 ここでは水泳だけではなく、「ルールとマナーを守り、友だちと仲良くし、コーチの話をよく聞く」ことも大きな指導目標にしている。「あたしの次の目標は、早くD級になって、青い帽子をかぶること。その次は最高クラスのE級の白い帽子よ」。生後五か月からプールに親しんできたという五歳の長峰光華(みか)ちゃんは、次の目標に向かってまっしぐら、水しぶきを勢いよく跳ね上げた。

 「ウイング三沢」所長で指導員でもある丸山義之さん(46)は、「泳げる人と泳げない人の差は、単に水への適用能力の違いだけ。環境と指導さえ整っていれば、誰でも泳げる。子どもも大人もまったく同じ」という。親からは「子どもの体が丈夫になった」「何事にも自信を持てるようになった」などの声が聞かれる。

 子どもの指導は子どもの目線に合わせ、「水の中に宝物があるから探してこよう」などとストーリー性を持たせ、子どもを引きつける工夫が欠かせない。子ども本人の達成感、満足感は極めて高く、これが大人へと成長していくための、確かな自信につながっていくようだ。(山田満智子)

 ◆プリザーブドフラワーに挑戦 新素材を自分流アレンジ
 ■弘前■ 生花のようにみずみずしい感触でありながら、数年間、水なしで美しさを保つことが出来るプリザーブドフラワー。生花を特殊な溶液で加工したもので、このところ全国的にフラワーアレンジメントの新素材として注目を集めている。このプリザーブドフラワーを使ったフラワーアレンジ講習会がこのほど、市内の生花店で開催され、人気を呼んだ。

 主催したのは、生花店「フローリスト花束」を経営する小山内紀子さん(34)と、フラワーコーディネーターの木田直子さん(30)。まず、ピンクのバラやカーネーションを中心にして、バランスを見ながら他の植物を組み合わせていく。「花だけでなく、ビーズやリボン、羊毛など異なる素材をあしらうことで、華やかで温かい雰囲気に仕上がる」という木田さんの説明を聞きながら、受講生たちは自分流のアレンジを楽しんだ。

 親子で参加した小田桐ヒロ子さん(53)、奈緒子さん(27)は、「プリザーブドフラワーには以前から興味があったが、県内ではまだ教えているところがほとんどないので、参加出来てよかった。早速、リビングに飾りたい」と話した。なかには、友人の誕生日プレゼント用にと、さらに材料を買い求める人もいた。小山内さんは「お客さんの評判が大変良かったので、要望があればまた開催したい」と語った。(須藤ゆか)

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 金谷年展さん 「地産地加地消」実践で応援(ひときらり) /青森
 
『朝日新聞』 平成16年(2004年)3月10日

 青森の救世主と呼ばれる日が来るかもしれない。慶応大助教授の金谷年展さん(41)が仕掛け人になった県の「環境・エネルギー産業創造特区」。燃料電池の広域利用計画が全国で初めて動き出した。

 もう一つの顔は県産食材にこだわるラーメン店のオーナーだ。02年、青森市内に「あおもりラーメン金太郎」を開店。究極のラーメン、究極のチャーハン――。メニューには「究極」の文字が並ぶ。「地産地消」に付加価値をつけた「地産地加地消」の実践を目指す。「地元消費だけなら工夫は価格競争だけ。キロ千円をキロ3千円にする知恵を絞らないと」

 県立保健大助教授として過ごした3年間で魅力にとりつかれ、今や「青森応援団」を自認する。「もっと宣伝して下さい。宝物があるんだから」。巨漢を揺らし、青森の一次産業を励まし続けている。

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 ー燃料電池の本格的普及のための鍵は?ー
 
NEW ENERGY 2004年4月号

クローズアップ21
燃料電池の本格的普及のための鍵は?

家庭用燃料電池の発売が、いよいよ秒読み段階に入った。環境対応としても、日本経済の活性化のためにも期待が高まるが、早急に解決しなければならない課題も残っている。

家庭用燃料田地いよいよ発売へ

 熱料電池といえば、リン酸型燃料電池がすでに世界中で実用化され、工場を中心として数百台導入されているが、昨今大きな注目を集めているのは個体高分子型燃料電池である。現在、世界でもっとも高熱度出力のものでは400ミリリットルで1kWの出力をだせるまでに至っているからだ。

 これによって自動車用から家庭用、さらには携帯電話やパソコンなど非常に広範囲にわたる用途が期待されるようになり、さらに量産化によるコスト削減効果がきわめて大きくなることが見えてきた。たとえば、これまで火力発電では kWあたり15〜20万円程度、太陽光発電だと60万円だったのに対し、燃料電池の場合はーーもし自動車用として年間10万代以上量産化できるようになればーー1万円を切ってくるという計算がなされている。2020年までに日本国内だけでも累計100兆円の燃料電池関連の新規マーケットが創出されると見積もられており(副大臣会議「燃料電池プロジェクトチーム」報告書)、日本経済再生のためのコアテクノロジーとしても大きな期待を集めるようになっている。

 燃料電池自動車はいち早く商品かされ、すでにリースによる販売が開始されているが、水素ステーションなどの整備をはじめ後述するように解決しなければならない課題も多く、本格的な普及は2010年をすぎてからになると見込まれている。それに比べて先に普及する可能性があるのは家庭用燃料電池である。

 現在、家庭用燃料電池は2005年度内の実用化・商品化をめざして松下電器産業、三洋電器、東芝、荏原バラード、三菱重工業といった国内外のメーカー十数社がしのぎを削っている。すでに日本各地で経済産業省の補助を得た実証試験が実施されており、最終的な実用化への課題抽出が行われている。また、東京ガス、大阪ガスなどのガズ会社では、家庭用燃料電池コージェネレーションシステムの普及体制を整えるためにメーカーの選定に入っており、いよいよ来年発売というところまでこぎつけた。

商品化間近の家庭用燃料電池は、エアコンの室外機くらいの大きさの燃料電池システム本体と貯湯器からなる。これが1家に1台取りつけられると、その家の電気を燃料電池でまかなうだけでなく排熱でつくられたお湯を給湯や暖房(床暖房などのシステム)でも活用できる。各家庭の光熱費は年間3万円〜5万円程度削減となるだろう。

 特に北日本など寒い地域では熱を有効活用できるため、光熱費の削減効果が大きい。雪の多い地域では排熱融雪にも使えるメリットがさらに大きくなる。また、2〜3世帯で住む大人数の家族のようにお湯を比較的多く使う家庭の方が、一人暮らしや夫婦だけの世帯に比べて燃料電池導入のメリットが大きい。

 さらに排熱の使い方を工夫し、夏の除湿空調に利用するための技術開発もすでに実正段階に入っている。梅雨の季節や夏の除湿が排熱で可能になれば、冷房のかかる費用を節約できるだけでなく、住宅のカビ、ダニの発生を防ぎアトピー性皮膚炎の暖和にも貢献できるなど、様々なメリットを享受することになろう。

燃料電池普及の鍵を握る「水素インフラ」と「エネルギー特区」
 燃料電池の燃料である水素は、インフラの整っている天然ガスやLPガス、灯油などから取り出すことが想定されているが、この場合、地球温暖化の元凶である CO2を従来よりも20%〜30%少なくはなるものの、やはり排出してしまう。従って中長期的には太陽光や風力、バイオマスといった再生可能エネルギーで水素を作ることが望ましい。

 そのなかで、最近特に注目されているのは、バイオマスから高効率で水素を取り出す技術である。こうした技術として有望な「炭化熱分解炉」「超臨海水」「水素発酵」などは、すでに実用化されている「メタン発酵」などに比べて小規模かつバイオマス重量あたり3〜5倍ときわめて大きなエネルギー利用効率が可能である。燃料電池が普及し、水素エネルギーの需要が出てくれば、こうした技術でバイオマス活用が一気に進むだろう。

 ただし、実用化のためには、現状の廃棄物関連の規制の暖和が不可欠だ。さらにつくった水素をどのように供給するかといったインフラ整備も課題である。現在、関係省庁連絡会議では2005年の家庭用燃料電池の商品化までに、現行法での燃料田地導入に弊害がある規制を暖和するための準備に入っている。これによってボイラー主任技術者をおくことや窒素パージの義務づけなどをはじめ消防法、電気事業法、建築基準法、高圧ガス保安法などの産業界から要望された検討項目についての規制が暖和される予定だ。

 しかし、定置型燃料電池普及への大きな障害は、燃料電池の余剰電力の売電価格の問題だ。定置型燃料電池の余剰電力の売電価格がきわめて低く設定されると想定されるが、電気を余らせない運転だと燃料電池コージェネレーションによる光熱費削減効果が小さくなる。これでは、メリットの出る家庭が著しく少なくなってしまう。

 これに関しては、コミュニティで分散型電源をネットワーク化してマネジメントし、電気を各需要家間で融通できるシステムにすれば、コミュニティ全体として光熱費削減効果が大きくなるという趣味レーション結果が示されている。しかしながら、現状はこうした分散型電源のネットワーク化を視野に入れた、送配電網の解決や再構築といった議論までには至っていない。

 ただ、2003年に入って新たな動きも出てきた。内閣府が法制化した地域だけ国とは規制枠組を変えるという構造改革特区として、青森県などいくつかの地方自治体がエネルギー規制暖和の特区として認定されたことだ。今後、これらの特区構想では、電力自由化の先行実験として分酸型電源ネットワーク化の実証試験を行ったり、実際にビジネス展開が可能となるような規制暖和を実施することになる。こうした特区構想の実現のなかで燃料電池の有効性が実証されれば、燃料電池普及により大きなはずみがつくだろう。

 燃料電池・水素エネルギー社会を絵にかいた餅にしないために、こうした国のトップのリーダーシップこそが求められているのである。

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 内の眼外の眼ー仙台の隠れた宝物
 
SURF 2004 No.68号

内の眼外の眼ー仙台の隠れた宝物

 7年前に私が青森県立保健大学で働くことが決まった時、青森といえば大聞の一本吊り本マグロや田子の大粒にんにくなど世界随一ともいえる食材の宝庫ということで期待に胸を膨らませたことがあった。しかしいざ青森に来てみると大間のマグロはほとんど手に入らず、青森屈指のにんにく料理の店は中国産にんにくを使ったものだった。地方のすばらしい素材がそのまま東京の築地へ、大田へ行き東京の人の口に入るのである。東京の居酒屋「たんと」では"芝浦牛"が一番の人気メニューとなっている。東京の芝浦で牛が飼育されているわけではない。全国トップクラスの牛肉は、すべて芝浦市場に集まってくるということの皮肉をメニュー名に表しているのだ。こうした食の植民地状態では、いつまでも地方の経済的自立はありえない。そんなことから最近「地産地消」の重要性が叫ばれている。私はこの地産と地消の間に「地加」すなわち『地域で付加価値をつけること』をいれるようにしているが、地方の経済効果でいえば、これこそが重要なことだ。仙台はどうかと言えば、米国の BSE問題から牛タンの危機が全国放送を流れ、この報道を見た多くの人たあちが「なんだ牛タンは仙台ではなく米国産だったのか」と気がついた。少なくともほとんど地産ではないわけだ。「仙台なす」は次々と疑問が生まれた人も少なくなかろう。

 仙台をみちのくの中心と考えると実は世界一の食材の宝庫といっても過言ではない。最近、地産地加地消をめざし、飲食経営を始めたことから、仕入れ先探しに東北地方の農家や漁師を訪ねる機会が増えた。するとどうだろう、本当に世界に1つだけの生産方法で科学的にも成分分析すると輸入ものよりもはるかに栄養価の高いにんにくや自然薯といった農作物をつくっている農家の方、どこにも負けないアジを白炭で炊き上げ、出汁は他に類を見ない焼き干しをつくっているおばあちゃんなど、隠れた宝ものがたくさんあるのかということに気がついた。これからは、そうしたものを、地域で付加価値をつけて、ブランド化し、わざわざ東京から食べにこなければ食べられないようなオンリーワンのお店が仙台に増えていくことを期待したい。私が東北大学・大学院と9年間仙台にいた時と比べると仙台市内に全国一括仕入れの全国チェーンの飲食店が目立つ。少し残念である。でも1つ面白いものに出会った。仙台ゴスペルフェスティバルだ。これは人間の夢をテーマにアカペラ、ゴスペルで街中を埋め尽くそうというイベントで去年が第2回目だったという。

 私は気がついた。そうか人の声も隠れた地域資源、宝ものなのだ。「人の声」によるまちおこしのさらなる発展を祈願する。

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